大登録者戦争: PewDiePie vs T-Series

Satake

image by Pixabay

大衆娯楽となったウェブ動画。そんなウェブ動画の筆頭サービスであるYoutube。動画に対して広告を設定することができるので、広告費を得ることを仕事としてYoutubeに動画を投稿するYoutuber。小学生のなりたい職業ランキングでYoutuberがランクインするなど、徐々に存在感が増しています。

Youtuberの人気の指標の一つはチャンネル登録者数ですが、日本の登録者数ランキングで一位ははじめしゃちょーで、782万人(2019/4/16)です。また、テレビでYoutuber代表で出てくるHikakinは729万人(2019/4/16日現在)の登録者がいます。

こうしたトップYoutuberはもはやインターネット上の人気者という枠を超えて、芸能人と同じ大スターのようになっています。

国内だけでも十分すごいことになっているのに、海外を見るとチャンネル登録者数が1,000万人や2,000万人を超えているようなチャンネルもたくさんあり、規模の違う世界になっています。

そして今、「世界一」の座を巡る争いが起きています。

PewDiePie

世界一の登録者数の座を争っている”元”王者側の人物がPewDiePieです。

PewDiePieはスウェーデン出身のYoutuberで、ゲーム実況や、”Meme Review”,”LEIAY”,”YLYL” (You laugh, you lose)といった動画を投稿しています。彼の動画は基本的に500万再生を突破しており、総再生回数は210億回、チャンネル登録者数は9,400万人を越しています。

2010年より動画投稿を始め、2013年の8月にチャンネル登録者数が一位となり、2013年12月に何度か抜かされることがあったもの、最もチャンネル登録者数の多いYoutuberとしてかれこれ5年以上Youtubeに君臨していました。そう、T-Seriesに2019年3月に抜かされるまでは。

T-Series

T-Seriesはインド最大の音楽レーベルです。

実はYoutubeで多くの登録者数を持つチャンネルは有名Youtuberのみならず、音楽アーティストが曲をPV付きで投稿するチャンネルも多くの登録者数を持っています。また、再生回数もとてつもなく、

音楽アーティストが多くの登録者を持ちがちな中で、インドの巨大音楽レーベルが一つのチャンネルで人気な曲をアップロードし続けていたらどうなるのか想像するのは難しくありません。

T-Seriesはインドの人々がインターネット回線を持つようになると同時にチャンネル登録者数は莫大に跳ね上がり、最終的にPewDiePieを抜かすまで成長しました。

しかし、簡単にPewDiePieを抜かしたわけではなく、その中で多くの出来事がありました。

戦いの歴史

2018年7月以降のグラフ。Social Bladeより引用。

登録者数差は15日時点での差。

2018年8月(登録者数差:770万人)

Pyrocynicalが”THIS CHANNEL WILL OVERTAKE PEWDIEPIE (ASOT)” という題の動画を投稿し、PewDiePieがこれに応じて
“THIS CHANNEL WILL OVERTAKE PEWDIEPIE (LWIAY #46)”という題の動画を投稿。これがPewDiePieが初めてT-Seriesについて言及した動画となった。

2018年10月(登録者数差:110万人)

PewDiePieが”bitch lasagna”というT-Seriesを’diss’る音楽を投稿。

MrBeastが自身の街の広告欄の多くを買い占めてPewDiePieを支援。

2018年11月(登録者数差:35万人)

TheHackerGiraffeが50,000の世界中のプリンターをハッキングして”Subscribe to PewDiePie!”(PewDiePieにチャンネル登録しよう!)と印刷させた。

Justin Robertsがニューヨークタイムズスクエアの約1億円の広告欄を購入し、PewDiePieへのチャンネル登録を促した。

2018年12月(登録者数差:130万人)

PewDiePieがインドの子供へのチャリティ活動を行い、2,000万円ほどの寄付を集める。

YouTube Rewind 2018が投稿され、PewDiePieはその中に出演していなかったものの、JaidenAnimationsがPewDiePieの椅子と”Sub to PewDiePie”という意味を込めたアニメーションを忍び込ませた。

多くのYouTuberや著名人がPewDiePieの支持を表明した。

2019年1月(登録者数差:40万人)

HackerGiraffeとJ3ws3rが約7万台のスマートTVをハッキングしてPewDiePieの動画を流した。また、HackerGiraffeは今後こういった活動をしないと表明した。

2019年2月

1日、登録者数差が100,000人を割る。

3日、DramaAlertが “EMERGENCY BROADCAST! – SAVE PEWDIEPIE! from T-series!”という題で生放送を開始。登録者数差を100,000超えまで引き上げる。

13日、登録者数差は10,000人を割り、T-SeriesがPewDiePieを打ち負かすまであと数時間となったところでなんとか登録者数差を伸ばす。

23日、Elon MuskがPewDiePieの”Meme Review”を行い、その動画をPewDiePieがアップロード。登録者数差が文字通り1になったかと思えば、ものの数分で5,000まで伸びる。

2019年3月

2-3日、登録者数差が1,000を割る。

9日、MaximilianMusがT-Seriesを支持する配信を開始。これによりT-Seriesが2分ほどPewDiePieを超えることとなった。

13日、T-Seriesが数分の間PewDiePieを越したが、またすぐにPewDiePieが王座を取り戻した。

15日、ニュージーランドで起きた銃乱射事件において犯人が”Subscribe to PewDiePie”と発言した。これに対してPewDiePieは強い非難を示した。

18-20日、T-SeriesがPewDiePieを数秒から数分の間抜かすことが何度か起きた。

21日、T-Seriesが35,000人の登録者数とともにPewDiePieを抜かした。しかし、12時間後PewDiePieは王座を取り戻した。

22-26日、T-SeriesがPewDiePieを数秒から数分の間抜かすことが何度か起きた。

28日、T-SeriesがPewDiePieを24時間以上上回ったことによって、PewDiePieの登録者一位の記録が途絶えた。

2019年4月

1日、PewDiePieがT-Seriesの一位達成を祝うという体で’diss’る曲、”Congratulations”を投稿。ここから再びPewDiePieとT-Seriesの登録者数差が縮まり始め、同日PewDiePieが王座を奪還する。

6日、PewDiePieが登録者数差500,000人ほどの差をつけたものの、再び登録者数差は縮まり始める。

14日、T-Seriesは再び王座に上り詰め、22日今日までチャンネル登録者数一位である。

戦争の終結

こうしてPewDiePieは王座を失うことになりましたが、戦争開始時からPewDiePieはチャンネル登録者数を30,000,000人ほど獲得しており、王座を失ったのは残念とはいえ、PewDiePieのチャンネル登録者数が95,000,000人であり、三位のチャンネル登録者数が54,000,000人なことを考えると彼にとっても完全にマイナスとは言い切れない出来事だったのではないでしょうか。

現在の登録者数はFlare TVによる以下の配信から確認できます。